2022年首相決定1号とは?①

~ベトナムで進むカーボンニュートラル政策と市場参入機会~


●ベトナムのカーボンニュートラル実現に向けたインベントリ制度の開始

 ベトナムでは、GHG削減に関する目標と計画を盛り込んだ環境保護法(72/2020/QH14) を2020年11月に改訂・公布した。以降、COP26(2021年11月)でチン首相が2050年カーボンニュートラルの目標を表明するなど、気候変動対策とカーボンニュートラルを実現するための政策を打ち出し、具体的な行動計画、規制などの整備が進んでいる。

 そのうちの一つにGHGインベントリ制度がある。2022年1月に公布されたGHG排出量低減とオゾン層保護に関する政令(06/2022/ND-CP)では、2022年からGHGインベントリが制度化されること、またその対象となる事業者の要件が定められた。

 この政令で示されたロードマップでは、インベントリの試行および基盤整備を2026年までに行い、その後、制度の確立およびGHGインベントリを本格稼働する。そのため、事業者は2022年12月末日までにインベントリを実施し、2025年までのGHG排出削減計画とともに提出することが求められる。なお、2026年までは制度の試行期間であるため、2025年までのGHG排出削減計画には努力義務が課されない。しかしながら、2026年以降は5年ごとのGHG排出削減計画作成と、その達成に努力義務が課されることになる。そのため、企業は試行期間の間に正確な現状把握と実効性のある削減計画の検討を進めておくことが望ましい。

 GHGインベントリの対象は、原則、年間のGHG排出量平均が3,000トン-CO2を超える工場・事業場等である。ただし、年間エネルギー消費量が1,000TOE以上の火力発電所、製造業及び運輸・物流業の事業者、年間処理量が65,000トン以上の廃棄物処理事業者はGHG排出量が3,000トン-CO2を下回っていてもインベントリの対象となる。

(出所:GHG排出量低減とオゾン層保護に関する政令を基に当社作成)

GHGインベントリ制度化のロードマップ

 

(出所:GHG排出量低減とオゾン層保護に関する政令を基に当社作成)

GHGインベントリの対象となる事業者の要件

  

ベトナムにおけるこれまでのGHG排出削減戦略、削減目標などは当社のベトナム 環境・市場レポートvol.2/2022「ベトナムにおける温室効果ガス排出状況と気候変動対策の動向」 でお読みいただけます。